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carpe diem

『今日知った言葉carpe diemという古代ローマの詩人の言葉、「一日の花を摘め」っていう意味で転じて「今この瞬間を楽しめ」「今という時を大切に使え」っていう風に使われる』


ー『すてき』

 『一日の花を摘め』


『よかったら使ってください』


ー『心の臓にタトゥーしました』


『good』


ー『thanks』






タクマくんとわたしの、さいごのやりとり。


夏が終わりへと加速していくことに、少し焦りを感じていた頃だった。


ゆるたのしい言葉遊びのあとで、突然に人生へのキーワードをくれることが、いつも自然だった。わたしも、タクマくんが褒めてくれたお気に入りの返事を得意と思って返した。またすぐになんでもない日常のたのしみやおもしろみを共有できることを想像し、いい夢もみた。




こんなさいごになるなんて。あまりにも綺麗すぎる。

心の中までも、ぽっかり綺麗になってしまった。

ぽっかり綺麗の心の中、いつもここにタクマくんはいてくれたのか。






大切な友人。大親友と思っていた。


マイキーパーソンさんと呼んだ。


同い年のお父さんとも呼んでいた。






緊張感を与えないところが素敵だと褒めた。

誰に対してもフランクで、軽やかで、そういうところがとてもいいよ、ありがたいよ!と、何度も伝えた。何度も何度も、いいところをいっぱい伝えても足りないくらいの感謝だったから、わたしがさいご、タクマくんに伝えた言葉が感謝の言葉だったことも、できすぎていて、わけがわからないよ。



不意に「このお菓子たべたことある?」と、気兼ねなく連絡のできる、唯一の男の子の友達。いろいろな悲しみのときに、助言をたくさんしてくれた。わたしには思いつかない閃きの言葉たちに、どれだけ救われてきたんだろう。この先の人生の暗がりも、全然怖くないほど、心強かった。






この寂しさを、想像していなかった。



二人で歩いた東京での夜の散歩。二人で過ごした岩手での他愛のない時間。とても大きく支えられていた。

ありがとうと思って、手放すことは、まだまだできそうにない。

重々しさを共有できる心のタクマくんだったから、どんなに軽やかな印象を残してくれても、さみしいままだよとおこりたい。











もう、なんなんだよう。


ひっじょーに、おこっています。











少しひきつった笑顔で、「なっさん、ぎゃんなき」とか言ってるな。君のせいだ。












どうして?とも、いけないよ!とも、思わない。

ひとりひとりの心の中、正しいことなど分からない。想像力を使ってみても、宇宙のようで、やっぱり計り知れない。もうずっと長い間、手術の後の副作用が続いていたのかもしれないし、そうではなかったのかもしれない。手術が決まったことを嬉しそうに電話で話してくれながら、不安そうな沈黙の時間があったことを、わたしは覚えています。とてもやさしい優しさのかたまりみたいなあなたは、とてもかしこい賢いあなただったから、いろんなことが分かっていたのだなあ、と思う。









このぽっかりを残したまま、わたしは歳月を進むのか。



心細いです。



すごくこころぼそい。











つくったもの、きれいだとおもったもの、おいしいもの、おもしろいとおもったもの、もっといっぱい話したかった。







地球も、世界も、わたしの心の中も、何もかも、ちゃんと変わってしまったよ。






































もう会えないことは寂しすぎるけど、いっしょにずっと生きていきます。





周りの友人、大切なひとに、たくさん支えられながら、わたしすごく分かったよ。これから過ごす時間のいたるところでまた、タクマくんから元気をもらって、勇気となって、楽しく暮らす心。今のわたしのあれもこれも、教わって、大切に思ってきたことばかりでできているのだから、この先もそうに違いないのです。

もう、ずっとずっと変わることのないタクマくんの優しさを、わたしはこの先ずっとずっと大切にしていきます。





タクマくんのおかげで、今この時も、いろいろな友達と再び縁が繋がって、こうも素敵なものをのこし続けてくれるのですかと、胸がいっぱいです。恩返しさせてくれないままだね。この感謝をみんなに必ず伝えて生きていくから、って思ったときに、それを望んでいた姿があって、いつものタクマくん、君だった。






いっしょに生きていく友と、いっしょに心の中に生きていくタクマくんと。

そうおもえば、最強ね。

こんな気持ちの夜。








ちゃんと、明日もまた、一日の花を摘むね

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