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流星群


流星群を見た。




2:13 目が覚めた。


いつ眠ってしまったのかは覚えていない。


今日、会社ですこしだけ話題になった「流星群」。夜中の2時が見頃だと聞いたことを、身体が覚えていた。



天体のイベントがある夜は、

父のことを想う。



小さな頃、

母と弟と父と、深夜に家の畑に出て、

大きな綺麗な彗星を見た。

エメラルドグリーン色を知ったのは、あの時だった。

間違いなく、「心に残る」の初めての経験だった。



ただ、もう今となっては、あんなにも美しかった光の夜が、夢だったのかな、と、思えたりもしている。

(あまりにも美しすぎる経験というのは、いつか、夢、幻のように思えてしまうものなのだろうか。このことは、大人と子どものグラデーションの中で抱く、疑問のひとつでもあった。)


母に確認なんてことをして、覚えていなかったとしたら(大いにあり得る)、どうしよう。わたしのこの思い出は、本当に夢という事実となってしまう。それは、すこしかなしいなって思うから、いつもひとりで思い出す思い出。



そうして、

もし、これが夢だったとしたのなら、

わたしはかれこれ20年以上もの間、同じ夢を、特別な星の夜には思い出していることになる。それはまた、違った不思議さがある。



父に抱っこされていた記憶。髭がじょりじょりしていたかった。笑い声の余韻。口数は少なく、穏やかな表情。

家族みんなでささやかにはしゃいだんだったなあ。


眠っていたわたしを、そうっと起こしてくれたこと。優しい名前の呼び方。声はもうあまり覚えていないのだけれど、響き方は残っている。



そんなことまでも、ゆっくりじんわり思い出されていく。









先日新調した、ウールのコートをパジャマの上に着た。


仙台出張の帰りに、ふらふらっと購入してしまったコート。久しぶりの大きな金額の買い物に、実はずっとソワソワしていたりもして、このコートを着て「流星群」が見られたなら、「流星群コート」と呼んであげられる。それっていいなあ、と思って、ベンツのしつけ糸をほどいた。




車に乗り込み、なんだかとてもスッキリした気分だった。




とても月も綺麗だった。

纏ったオーラは、夜を照らしていて、その光の粒たちは、今日もしあわせそうでした。





運転をしながら、好奇心の根性がすごいなあと、自分のことを思ったりもした。

あまりにもちょうどいい時間に目覚めたわたし。そういうところあるよね、と、笑えた。




目的の畦道まで数分間。




車を降りて、空を見上げた。

星のことを思う前に、「寒くない。」と思った。




ぼんやり、オリオン座の方角を見上げた。(流星群を見るコツは、広い視界でぼんやり空を眺めるということ。ぼんやりとは?と思いつつ、天体観測のサイトからの情報に、素直に従いました。)1時間に5個程度、見えるとのことだった。




20分は見上げていようと、世の中が寝静まっている気配も感じながら、田んぼの真ん中で、立っていた。






お星たち。




みんな。


大切な、とてもすきなひとたちのことを、想った。

どうか、しあわせな気持ちが多い、

日々でありますように。






ぼんやり眺める広い空の中で、

にっこりマークの口元みたいに、

ニコッと星が流れた。




「流星群」だったのかな?と思って、ぼんやりを続けていたら、



今度はにっこりマークの目元のように、

ニコッと星が流れたから、

(ありがとう。)と思った。






今日もいい夜だった。


明日も、いい一日にしよう。






おやすみなさい。

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